引越しでの物損事故

ストップ泣き寝入り!引越し業者から物損事故を補償させるマル秘テクニック!

引越し作業員の「ひこしお」です。この記事をご覧の方には、引越しで物損事故に見舞われてしまった方もいらっしゃるかと思います。また業者との物損交渉で、不利な条件を突きつけられている方もいらっしゃるかもしれません。

お客様のお荷物が事故にあった場合、引越会社には補償する義務があります。もちろん建物への物損も同様です。その際は、引越業者との交渉がとても重要になります。

そこで今回は、引越業界の事情を踏まえた上で、引越しで物損事故が起きてしまった際の対応や交渉のポイントを詳しくご紹介していきます。業者がよく口にする言い逃れフレーズも含めて掲載していますので、ぜひ今後のご対応のご参考になさってください。

引越し業者に課せられた物損事故の責任範囲!

まずは法律的な話をしたいと思います。もちろん難しい話ではなく、ポイントを絞って分かりやすく解説していきます。物損事故に関して記載されたとても重要な内容ですので、ぜひ目を通していただければと思います。

引越し業者に課せられた条項

引越業者は、事業を運営するにあたり、国土交通省と「標準引越運送約款」という約款を結んでいます。この約款には、物損事故への対応が明記されています。以下、重要な部分を抜粋いたします。

標準引越運送約款第22条(責任と挙証等)
当店は、自己又は使用人その他運送のために使用した者が、荷物の荷造り、受取、引渡し、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物その他のものの滅失、き損又は遅延につき損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します。

出典:国土交通省「標準引越運送約款」

難しい言葉が続いているため簡単に言い換えると「引越業者は物損の責任が無いと証明できない限り、速やかに損害賠償しなければならない」といったところです。

引越業者は、お客様のお荷物をお預かりし、トラックに積み込み、運搬し、荷下ろしします。これほどの作業をしているのですから、「責任がない」なんて証明することは不可能です。それではなぜ、物損補償を渋る業者がいるのでしょうか。

引越業者には物損への免責事項がある!

標準引越運送約款には続きがあり、引越し業者の免責事項が設けられているのです。引越業者はこの免責を盾に、あの手この手を使って交渉してきます。以下、標準引越運送約款からの抜粋です。

標準引越運送約款第23条(免責)
当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。

  • 一 荷物の欠陥、自然の消耗
  • 二 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由
  • 三 ストライキ若しくはサボタージュ、社会的騒擾その他の事変又は強盗
  • 四 不可抗力による火災
  • 五 予見できない異常な交通障害
  • 六 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
  • 七 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し
  • 八 荷送人又は荷受人等の故意又は過失

出典:国土交通省「標準引越運送約款」

このうち、引越業者が盾にするのは、「荷物の欠陥、自然の消耗」と「荷送人又は荷受人等の故意又は過失」です。この免責条項を盾に、下記のような信じがたい言い逃れをしてくるケースがあるのです。

言い逃れ例
冷蔵庫の故障 → 自然消耗による寿命
荷物の破損  → ダンボールの詰め方が悪い

引越し業者が物損事故を認めない背景!

もちろん迅速に破損の対応をしてくれる引越し業者もいます。ただ残念ながら一部の業者では、上述の免責事項を盾にとり、補償交渉がスムーズに進まないケースもあると聞いています。この章では、そんな引越業界の裏側を取り上げていきます。

物損で保険を使うことは少ない!

引越し業者は、物損事故に備えて保険に加入しています。しかしながら、物損事故で保険を適用することはほとんどありません。破損が起きる度に保険を使用していると、保険料金が高額になってしまうからです。

大抵のケースの場合、その会社の利益から修理代を充当しています。身銭を切る思いはしたくないですから、巧みな言葉を利用して責任の所在を曖昧にしてくるのです。引越し業者の物損対応窓口からは、次のような言葉が聞こえてきそうです。大抵のお客様は反論できず、泣き寝入りしてしまうのではないでしょうか。

言い逃れ例

補償したい気持ちは山々ですが、梱包はお客様の責任ですので、会社として弁償することはできません

壁には養生してありますし、家具も布で保護しています。こちらの過失で壁に傷が付いたとは考えずらく、中古物件でもありますし、最初から傷が付いていたのかもしれません

物損費用は社員の給料から天引き!?

引越業者が物損事故を認めない背景としては、給料体系にも事情がございます。物損事故を起こしてしまうと、お給料から損失の一部または全額を控除する企業があるのです。また破損ばかりしていると、会社の上司や同僚から白い目で見られ、信頼を無くしてしまいます。

このため引越作業員の中には、意地でも「物損」を認めないスタッフがいるのが現状です。もちろん自らの過失を認め、誠意を持って対応する作業員もたくさんいますので、この点は付け加えさせていただきます。

派遣会社のアルバイトの物損は対応が良い!

繁忙期になると、引越し業者の社員とアルバイトだけでは作業が追いつかなくなってしまいます。そこで派遣会社から臨時的にアルバイトを受け入れる業者もあります。

派遣会社のスタッフは引越し作業に慣れていませんので、それだけ事故を起こす可能性が上がります。ただ派遣会社のスタッフが物損を起こした場合は、引越業者自ら責任を認め、対応するケースが多い印象を受けます。これには理由があります。派遣会社のスタッフの破損は、派遣会社の責任となり、派遣会社から補償費用が支払われるのです。

引越業者も名誉挽回のため、誠実に対応してくれるケースが多いのかもしれません。

引越しでの物損事故の対応方法!

物損対応を渋る引越業者がいる中、どのように対応すれば良いのでしょうか。この際は、「業者に過失を認めさせる」ことがファーストステップです。ここではそのポイントを解説いたしますので、ぜひご確認してください。

引越しの作業中に物損事故を目撃した場合!

ご自分の目の前で物損事故が起きた場合は、下記3ステップで100%業者に過失があることを認めさせ、言い逃れのできない環境を整えましょう。

ステップ1:現場責任者に物損を報告!

基本的に物損してしまうスタッフは、経験の乏しいアルバイトが多いです。彼らに謝罪の言葉をもらったところで、業者が過失を認めたとは断言できません。

そこで破損被害にあってしまったら、まずは現場責任者を呼びましょう。そして現場責任者から謝罪の言葉をもらい、過失が合ったことの確認を取ります。

ステップ2:スマホで物損状況を記録!

次のステップとして、物損現場の状況をスマートフォンなどで撮影し、記録を残しておきましょう。スマホのカメラには、撮影日と撮影時間が記録されます。いつ、何時何分に、どのような被害を受けたのか、しっかりと証拠を残すようにしてください。

この写真が無いと、後に事故の程度を曖昧にされてしまうリスクもありますので、とても大事なポイントになります。

ステップ3:事故証明書を発行!

最終ステップとして、決め台詞「事故証明書を発行してください!」と言ってください。引越業者は、上の標準引越運送約款に基づき、この要請に応じる義務があるのです。

この証明書を発行することで、業者は言い逃れができなくなります。事故証明書は、引越しの後日でも請求できます。今からでも遅くありませんので、見積もり担当者などに連絡を取って受け取りましょう。

ちなみに事故証明書を発行してくれない場合、国土交通省に引越しの事業届けをしていない潜り業者の可能性が高いです。「国土交通省に引越し事業の認可もらってますか?」と聞けば、通報を恐れて補償の土台に乗ってくるはずです。

引越しの作業後に物損事故が発覚した場合!

引越しが終了してから物損が発覚するケースも多いかと思います。ここでの大事なポイントは、破損を発覚したら、即座に業者と連絡を取ることです。

また物損状況をスマホなどで写真を撮って記録を残しましょう。スマホのカメラには撮影日が記録されますので、交渉の際の証拠として使用できます。

引越しの日から月日が経てば経つほど、業者は「お客様が日常生活で無意識に破損してしまった可能性もありますし…」と反論する隙を与えてしまいます。とにかくスピードが命ですので、物損を確認したら直ちに連絡を取るようにしてください。

引越し業者との物損交渉のポイント!

引越し業者に物損の過失を認めさせた後は、いよいよ補償範囲の交渉になります。引越し業者は、少しでも補償内容を軽くしようとしてくるかもしれません。ここでは交渉を優位に進めるポイントと、やってはいけないポイントをご紹介していきますので、合わせて確認してみましょう。

物損補償の交渉ポイントは原状回復!

引越し業者と物損事故の交渉を進める上では、「原状回復」がポイントです。業者には、とにかく「元の状態に戻してください」と伝えましょう。これは冷蔵庫や洗濯機が壊れてしまった際にも同様のことが言えます。

この要求は正論であるため、業者としても反論しづらく、話が進みやすくなります。これが最もスピーディーに、そして最大限の補償を得るコツであることは間違いないと思います。

ただ物損状況に応じては、原状回復できないケースも生じてくるかと思います。この際は、業者から金銭的な負担のお話が出てきますので、それをベースに交渉を進めてください。

新品交換や慰謝料請求は避けよう!

物損事故でやってはいけない交渉は、いきなり新品交換や慰謝料を請求することです。引越業者は物損事故の対応に慣れており、顧問弁護士もいます。こうした要求をしてしまうと、最悪の場合、「お客様のご要求は受け入れられません。ご不満なら裁判してください」と棚上げされてしまう可能性すらあるのです。仮に裁判を起こしたとしても、慰謝料を取ることは難しいです。引越し業者は、こうした点も見据えているのです。

もちろん大手の引越業者は、口コミや評判を気にしていますので、ここまで乱暴な対応はされないはずです。とはいえ、新品交換や慰謝料請求は通らないということを理解して交渉していただければと思います。

引越しの物損事故は泣き寝入りしない!

いかがでしたでしょうか。引越しで物損事故が発生した際の対応や、業者の常套手段はご確認いただけましたでしょうか。

引越し業者との補償交渉を優位に進めるためには、まずは業者に過失を認めさせることがファーストステップです。その際は口頭謝罪で終わらせず、文章で事故証明書をもらいましょう。そして原状回復をベースに補償交渉を進めていきましょう。

物損事故で泣き寝入りする必要は一切ございません。業者に言い逃れできない環境を作ってから具体的な交渉を行い、少しでも優位に話を進めていただけたらと思います。皆様の物損事故が無事解決されることを願って止みません。